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ねこ文童話>あの雲に乗って・・

あの雲に乗って・・

(あの雲に乗って、どこか遠くに行きたい・・)

一匹の猫は、空を眺め、そう思った。

この猫の名前はカイ。
もしかすると、血統書つきの猫なのかもしれない。
でも、周りからみれば、ただの野良猫でしかなかった。

空を自由に飛んでみたい。
飛び回っている鳥たちを眺めては、そう思う。

カイは、この環境にはまだ慣れていない。
つい最近、この暮らしを始めたばっかりだからだ。
いや、始めざるを得なかった。

―カイは、捨て猫だった。

この暮らしは、常に危険が伴う。野良犬に襲われたり、車に轢かれて死んでしまうか
もしれない。心無い人間に、殺されるかもしれない。
それに、食べるものもない・・。

カイは空腹で倒れそうだった。
心やさしい人がいてくれれば、食べ物を恵んでもらったり出来るのだが・・。

と・・・。
一人の少女がやってきて、パンをくれた。
カイは、フィアといる時が一番幸せだった。
でも、フィアの家がアパートで飼う事ができなかった。
フィアは、カイがここに捨てられた時から、世話してくれていた。
カイという名前も、この娘がつけてくれた。

カイの元の名前は、ステファニーだった。
カイは、フィアのつけてくれた、この名前が気に入っている。

給食の残り物だろうか。カイは、差し出されたそのパンにかじりついた。
これで少しは空腹が満たされた。
そして、フィアは去っていった。

いつしか辺りは暗くなってきた。
また、寒い夜を迎える。
一日で、一番いやな時間・・。

(寂しい・・)

夜は昼間より危険だ。
空き地の土管の中で、丸くなって寝る。

外は、星がきれいだ。

そして、また新しい一日が始まる。
でも、いつもの夜がやってくる。

(あの雲に乗って、どこか遠くに行きたい。そして、いつかあの星へ・・)
カイは、いつものように雲を眺めていた。

その翌日、一匹の猫の死体が発見された。
どうやら、車に轢かれたらしい。
フィアは、その猫がカイだと、すぐにわかった。

フィアは、ずっと泣いていた・・。

(カイは、あの雲に乗って、どこか遠くに行ったのかもしれないね・・)

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