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ねこ文童話>わたしのだいすきなひと
わたしのだいすきなひと


いつもどおりの時間。
いつもの場所・・。

今日もここに、私の大好きなあの人がやって来る。

私は彼が来るのをじっと待っている。
すると、彼は走って、やって来た。

ここは、彼の働いているパン屋さん。
どうやら彼は、遅刻したみたいで、ウィンドゥ越しに店長さんにしかられている姿が
見えた。
彼はひたすら謝って、何とか許してもらえたみたい。
すると、彼は私の姿に気付いたみたいで、店を出てこっちに近づいてくる。

「どうだい?これでも食べなよ」
そう言うと、彼は私に、パンをくれた。
「ありがとう!えっと・・・」
「僕はトニー。よろしくね」
「えっと・・私は・・」
私が何か言おうとした時、突然彼は私の頭をなでた。
私は一瞬、びっくりしたけど、しだいにうれしくなっていった。
「あ!!もう行かなきゃ・・」
と、言うと、彼は再び店の中に入っていった。
私は彼の姿をずっと見詰めていた。

私は彼からもらったパンを一口かじってみた。
「おいしい・・・」
その瞬間、ふわっとした甘さが口いっぱいに広がった。

次の日も、彼は私にパンをくれた。
でも、それよりも大好きなトニーの姿を眺めているだけで、私は幸せだった。
私は、ついに意を決して告白しようとした。
でも・・彼からは、まったく返事がない。
ただ、にこにこしながら、私の頭を撫でるだけだった。

私は猫だから、この気持ちは伝わらないね・・。
それでも、彼の傍にいたい・・。
たとえ、それが叶わないことだとしても・・。

今日も、いつものコンクリートブロックの上で、彼を待っている。

お わ り

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