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ねこ文童話>こねこのソラと大きな鳥
こねこのソラと大きな鳥


一匹のこねこが空をみあげています。
こねこの名前はソラ。
ソラは空が大好きで、毎日毎日屋根にのぼっては空をみていました。
「ぼくもいつかあの空をとびたいにゃー」
ソラがためいきをついていると、それをみたカラスが言いました。
「やぁ、こんにちは」
「きみはいいね。空を自由にとべて…」
「それならきみをおいらの背中にのせてあげよう」
カラスがそういうと、ソラはうれしそうにとびあがりました。
「やったぁ。これでぼくの夢がかなうよ」
「それはよかった。では早速のってくれ」
ソラはゆっくりとカラスにのりました。
「では、いくよー」
ところが、おもくてとべませんでした。
「だめだ…。おいらの力じゃ、きみをのせてとぶことが出来ないな」
その言葉にソラはがっかりしました。
「ごめんよ。誰かもっと大きい鳥にのせてもらってくれ」
そう言うと、カラスは空に帰っていきました。
「仕方ない。大きな鳥を探すにゃー」

ソラがまず思い当たったのは神社でした。
あそこには大きな木があり、よく鳥をみかけるからです。
ソラは神社に走り出しました。
とちゅうで、車のたくさん通る道路にでました。
「ここを通るのは嫌にゃー」
空気が汚れているし、車の音はうるさいので、ソラは嫌そうな顔をしました。
でも、ここを通らなければ神社にはいけないので、仕方なくあるきました。
「もうすぐでここをぬけるにゃー」
ようやく道路を抜けると、真っ赤な鳥居の奥に、大きな木がありました。
「ここに大きな鳥はいるかにゃー?」
ソラは、木々にとまっている鳥たちに話しかけました。
「ここは大きな鳥はいないよ?」
「ぼくたちのような小さいすずめばっかりだよ」
そこにいる鳥たちには、とてもねこを乗せられるような大きい鳥はいませんでし た。
「どこにいけばいるかにゃー?」
「この奥にある森にいけば大きい鳥がいるかも…」
「わかったにゃ。ありがとにゃー」
「ところで、なんで大きな鳥を探しているの?」
「大きな鳥にのって空をとびたいからにゃー」
と、ソラが言うと、枝にとまっているすずめは笑い出しました。
「きみみたいなねこがのったらどんな鳥でもとべないよ」
「おもすぎておちちゃうよー」
そう言って、すずめの兄弟はソラをからかいました。
「でも、ぼくはとびたいにゃー」
ソラの決心は固かったので、ばかにされてもくじけません。
ソラは走って森に入っていきました。
「言いすぎたかな…」
すずめの兄弟は、ばかにしたことを少し反省しました。
「追いかけてみよう」
「うん」
そう言うとすずめの兄弟はソラを追いかけました。

夕日がしずみ、辺りが暗くなってきたころ、ソラは森の奥にいました。
「大きい鳥はどこにいるにゃー」
ソラはねこですから、暗いのは平気です。
でも、一人ぼっちでさみしくなってきました。
「一人はさみしいにゃ〜!」
とうとうソラはなきだしてしまいました。
すると、木の上にはあのすずめの兄弟がいました。
「またぼくをからかいにきたのかにゃー」
「違うよ。さっきはごめんよ」
「ぼくたちが大きい鳥を紹介してあげるから、さっきの事は許しておくれよ」
「わかったにゃー」
「でもぼくたちはその大きい鳥には会えないから、そこからはきみの力でがん ばってほしい」
「それはどうしてにゃー?」
ソラがたずねると、すずめの兄弟はふるえあがりました。
「ぼくたちは怖くて近づけないんだ…」
「そうなのかにゃー。なんだかぼくまで怖くなるにゃー」
しばらくあるくとすずめは、
「もうすぐこの辺りにくるはずだよ」
と、言いました。
すると、空の上でバサバサと、つばさの羽ばたく音がきこえてきました。
「どうやら来たみたいだよ」
「じゃあぼくたちはこれで…」
と、言うとすずめの兄弟は、チュンチュンと逃げるように去っていきました。
すると空からイヌワシが降りてきました。
「大きな鳥をさがしているのはおまえか?」
「はい。ぼくは空をとんでみたくて…」
「カラスが言っていたのをきいたから、話はわかるが…。落ちたら大変なことに なるから、止めておいたほうがいいぞ」
と、イヌワシはソラに言いました。
「それでも、ぼくはとびたいんです」
そのまっすぐな目をみていると、もう何を言ってもきかないだろうと思い、イヌ ワシはしかたなくのせてあげることにしました。
「のってもいいんですか?」
「少しだけだぞ。しっかりつかまらないと落ちるぞ」
ソラはうれしくてたまりません。
ソラがのると、イヌワシはゆっくりと羽ばたきはじめました。
そして、徐々に上昇していきました。
「とんでる!!」
ソラは、そこにうつる景色が、まるで別な世界だと思ってしまいました。
辺りはすでに暗く、星が光りかがやいていました。
それに、下も、まるで宝石をちりばめたような素敵な夜景が広がっていました。
「こんな景色、初めてだにゃー」
「空をとぶねこなんて初めてだよ」
と、イヌワシは笑いました。
つられてソラも笑いました。
「これでやっと夢がかなったにゃー」

しばらくの飛行を終えると、ソラはまた地面に帰ってきました。
「ここでお別れだよ。おれは他の所に行かないといけない」
「え?もうのせてくれないんですか」
ソラは少し悲しくなりました。
「ここは空気が悪くて、もうおれの住める所じゃなくなったんだよ」
「そうなんですか。でも今日は楽しかったにゃー」
「おれもおまえをのせてとべてよかった。じゃあまたいつか会おうな」
そう言うと、イヌワシは住みよい場所を求めて旅に出ました。
「気をつけてにゃー!!またきてにゃー」
ソラは力いっぱい叫びました。
そして、ソラも自分のすみかに帰っていきました。
「またいつかとびたいにゃー」
空には満天の星空が輝いて、ソラを見下ろしていました。
「今度はあの星までいくにゃー」
ソラの夢は、まだはじまったばかりです。

お し ま い。

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