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ねこ文童話>しあわせさがしのねこ

しあわせさがしのねこ


どこか遠くの、どこかの町に、一匹のねこがいました。
「しあわせって何かにゃー?」
ねこは、しあわせをさがして、どこまでも歩いていました。
毎日毎日、町に出てはしあわせを考えながら歩き続けています。

今日は、ぽかぽかあったかい一日です。
「今日もいい天気にゃー」
ねこが空き地で少し休もうとしました。
するとそこには、一輪の花が気持ちよさそうに、おひさまの光を浴びていまし た。 
「なんだかしあわせそうだにゃー」
ねこが視線を向けると、一輪の花が話しかけてきました。
「やあ、ねこさん。こんにちは。今日もいい天気だね」
「こんにちはにゃー」
「きみは毎日毎日何かを探してるみたいだけど、一体何をさがしているんだい ?」
「しあわせをさがしているにゃー」
花は、いったいなぜねこが、しあわせをさがしているのか、気になりました。
「きみは何が一番しあわせかにゃー?」
ねこの問いかけに、花はこう答えました。
「ぼくは、おひさまの光をあびるのがしあわせかな。きみも一緒にどう?」
「ぼくもやってみるにゃー」
ねこも、花と一緒にひなたぼっこをしました。
「気持ちいいにゃー」
ところが、それはねこの求めるしあわせではありませんでした。
「なにかが違うにゃー」
「そうか。ぼくはどうやら力になれなかったみたいだね。ごめんよ」
「そんなことないにゃー。ありがとにゃー」
「きみのしあわせが見つかったらいいね」
「ありがとにゃー。ぼくはそろそろいくにゃー」
そう言うと、ねこはふたたび歩きだしました。
花は、葉っぱを振って見送りました。
「しあわせはどこにあるのかにゃー」

ねこが歩いていると、途中でねずみの家族に出会いました。
ねこは、さっそく話しかけようと近づきました。
「ねずみさん…」
「ねこがきたぞ!!みんな逃げろーー!」
ところがねずみの家族は、いっせいに逃げ出しました。
どうやら食べられると思ったらしく、すぐに誰もいなくなりました。
「ぼくは嫌われてるみたいだにゃー」
ねこは、だんだんと悲しくなりました。
このままでは、しあわせさがしができません。
ねこが泣きそうになると、そこへ一匹のこどものねずみがやってきました。
どうやら、さっきのねずみの家族からはぐれたようです。
「どうしたんだチュー」
こねずみはねこに話しかけました。
「きみは逃げないのかにゃ?」
「きみは他のねことは違う気がしたから、話を聞いてあげるチュー」
その言葉にねこはうれしくなりました。
ねこが、しあわせをさがしていることを、ねずみに話しました。
するとねずみはこう言いました。
「ぼくのしあわせは、家族がいることかな。みんな心配してるだろうから、ぼく はそろそろいかなくちゃ…」
「わかったにゃ。聞いてくれてありがとうにゃ」
こねずみと別れると、なぜか急にさみしくなりました。 
ねこは、こねずみの言った、家族という言葉が気になったのです。
「家族かにゃ…」
ねこは、離れ離れになった家族のことを思い出しました。
すると、だんだん涙が流れてきました。
ねこは泣きました…。
「おかあさんに会いたいにゃー」
いつしかねこは泣きつかれて、とうとう眠ってしまいました。

ねこは、夢を見ました。
それはなんだか不思議な夢でした。
二匹のねこがしあわせそうな顔をしていました。
そのねこの一匹は、おかあさん。
もう一匹はおとうさんでした。
そして真ん中に、とても小さなこねこがいました。
「このねこは、ぼくかにゃ…。なんだかしあわせそうにゃー」
ねこは、その様子をみていると、うれしくなりました。
夢の中なのに、なんだかしあわせでした。
「このまま覚めないでほしいにゃ…」
ねこは、このしあわせがずっと続けばいいのにと、思いました。
けれども結局は、夢から覚めてしまいました。

ねこが目覚めると、辺りはもう真っ暗です。
「もうこんな時間かにゃ。そろそろ帰るにゃ」
ねこは、すみかに帰っていきました。
すみかに帰っても、結局はひとりぼっちです。
それでも帰る場所があるだけしあわせでした。
ねこがすみかに戻ると、そこには大きなあかりがついていました。
ねこの目の前には、一人の女の子が立っていました。
「あ、やっと帰ってきた」
女の子はうれしそうに、ねこを抱えあげました。
「まったく。心配したよ。ミュー。いつも家から抜け出して…」
「ごめんにゃー」
ミューと呼ばれたねこは、女の子に謝りました。
「どうしたの?おなかすいた?」
「ちがうにゃー」
「待っててね。今用意するから」
ねこが何を言っても、女の子には伝わりませんでした。
「まあいいかにゃ」
「はい。ごはんだよー。あれ?ところでその後ろにいるねこちゃんは?」
ねこがふりむくと、そこには二匹の大きなねこがいました。
「おかあさん…」
そこにはおかあさんとおとうさんがいました。
でも、すぐに消えてしまいました。
「あれ?さっきいたねこちゃんは??」
もうねこにはそれが何かわかりました。
そして、二度と会えないことも…。
「ずっと見守っていてくれたんだね…。ありがとう、おかあさん、おとうさ ん…」
「ミューどうしたの?よしよし」
「にゃー」
女の子は、ねこをなでてあげました。
ねこは、これがしあわせなのかと、思いました。
自分を大切に思ってくれる人がいてくれることが、一番のしあわせだと。
「やっとしあわせさがしが終わったにゃー」

お し ま い

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